第5号 平成24年3月20日

●愛国心と自尊心
「自分の国を誇りに思いますか。」と言うアンケート調査を世界の子供たちにしたところ日本人はとても低い点数でした。「先生を尊敬しますか」のアンケートにも日本の子供たちは最下位をとったのだそうです。
私がアメリカにいたころ、テレビで日本のある裁判の事を報道していました。学校の卒業式で国旗を揚げるか、国歌を歌うかなどが問題になって、裁判になったとことを伝えたニュースでした。その時、ひとりのペルー人の友達が不思議そうに私に聞いたのです。「日本人は自分の国の国歌や国旗が好きではないの?オリンピックで日本人の選手が出たら、国旗振って頑張れ~って叫ばないの?」彼にとっては自分の国旗を誇りと思わないことがとても不思議だと言うのです。
私が教育された60年代~70年代は確かに愛国心の教育がありませんでした。日本人がしてきた悪いことをしっかりと教育された私は、「意識が高い人間は、こんな日本なんて国を誇れるわけがない。」そう思ってきました。しかしこのペルー人の友人の素朴な質問に、私はだんだん恥ずかしい思いになってきたのです。
「確かに、自国の失敗や過ちをしっかりと教えることは大人の国としてするべきことだろう。でも、それが自分の国を卑下することにつながったのでは何の意味もない。それに日本のすばらしい文化、伝統や国民性などに誇りを持つ教育を日本はどうしてしないのだろう。」世界に向かって誇ることのできる、協調と和合の文化、忠義と誇りの伝統、勤勉で誠実な国民性…。誇って教えるべきことがこんなにたくさんあり、世界から好意と驚嘆の目で見られてもいる日本人がですよ、自分の国に自信を持つことができないなんてそれこそカッコ悪いのです。
最近諸外国で耳にするself-esteemと言う言葉があります。自尊心…自分を知り、自分の命や存在を誇る…という、人間が前向きに生きていくためにとても大切な心の在り方です。
「自分はこの世に生きる価値のある、すばらしい人間なのだ!」私たちは子供たちに可能な限りの種をまいて、彼らの自尊心を育ててあげなければなりません。
自尊心が芽生えるためには条件がいくつかあります。
①自分のルーツを誇る。
立派な両親から愛されて生まれた。すばらしい伝統文化のある国で生まれた。
②自分自身を誇る。
自分にはすばらしい能力がある。自分は努力と根性でここまで成長した。
残念ながら、私たちみんなが素晴らしい両親に愛されて、すばらしい能力を持って生まれることはないかもしれません。
ただ、私たちの努力で変えられることもあるのです。今一度私たちは自分の国を知りその文化や伝統を自慢すべきなのではないでしょうか。
「子供たちに今日まで受け継がれてきた日本のすばらしい文化と伝統を伝える。」
この当たり前のことが、未来の日本人の愛国心、そして自尊心を育てるのです。

●日本の農業
先日ある方から豊水とか幸水とかいう、超高級な梨をいただきました。しゃりっとした触感で、甘くておいしいこと!そしてあの大きさ!もしこの梨を外国に行ってレストランで出したら、人々は「これはいったい、なんという果物ですか?」と目を丸くするでしょう。
こんな梨は日本以外には存在しません。りんごだってあのどでかい富士りんごのような甘くてみずみずしいものはありません。他の国の農家はそんなにまで努力して一つの果物をおいしくしようなどと考えもしないのです。
日本人はこだわりのある民族ですね。「これで良し」ってことがない。おいしさのあくなき追求の果てに、あのような魔法の果物が生まれたのです。
日本の農業技術を使って努力すれば、その土地では耕作不可能と言われる野菜や果物も、何とか育ってしまう。これは今後の世界の食糧難に対して、日本人が担っていくべき分野ではないでしょうか。
海外に出て、農業指導をする。当然、英語や地元の言葉も使って指導することになり、農業はとても国際的でレベルの高い職業になる事でしょう。
話は変わりますが、「ここいら辺の米農家は眠っていて未だに新潟の米が日本で一番うまいという幻想を持っている!」と警告を鳴らしている農家がいらっしゃいます。彼に言わせれば、世の中は常に進歩しているので、全国の米農家は本当に研究している。努力しない者はやがておいていかれるのが世の常だから、新潟の米農家よ、目覚めよ!!と言うわけです。
なるほど、やっぱりこだわりの米づくりをしなければならないのです。「今までこれで良かったんだから、来年もこれくらいにしよう。」…では努力する人たちに抜かれてしまいます。逆に苦労はするかもしれませんが、こだわって努力を続けていく中で、自分の農作物に対する愛着や誇りが生まれるのでしょう。そしてそれが自分たちの人生への誇りともなっていくのではないでしょうか。
TPPも心配ですが、私達日本の農家はやはり「安全性」や「おいしさ」、質と内容で他国の農産物との差別化を図ることが、発展していく秘訣だと思います。