第4号 平成24年3月1日

●学校とこれから
今「ゆとり教育の失敗」をどう取り戻すのか、と言う教育論争が行われているそうです。「日本の子供たちが○○テストの結果、世界で低い順位だった」などと取りざたされるたびに文科省があわてふためくのですが、これはいかがなものでしょうか。


世界では教育の成果を判断する基準が変わってきています。「どれだけ知識を持っているか」を見るのではなく、「基礎知識を持って自分の置かれている状況を把握しているか、そこからの問題解決能力があるか。」つまり自分の力で考えて行動し、問題解決できる子供達になっているか、を判断の基準にしているのです。


そのテストで日本の子供達が好成績でなかったと言うことですね。それではこれをさらに分けて考えて見ましょう。


1、基礎知識はあるのか。
日本の子供たちは基礎知識の分野は大方良い成績です。効率的な黒板授業の成果だと思われます。


2、自分の置かれている立場を十分把握できているか。問題解決能力があるのか。
物を教える時、1から10まで全部示してから「はい、これを覚えなさい。」…と言うのが従来の日本の教育でした。欧米では1から5くらいまで教えてから、子供たちに考えさせると言うステップを取ります。「これから先どうなると思う?」子供たちの答えに、「どうしてそう思うの?」子供たちに十分考えさせたうえで残りを教える。この努力は確かに時間はかかりますが、子供たちを自主的に考えさせる効果を生むと思われます。日本では「ゆとり教育」の中で子供たちに自分で考える力を養わせようと試みましたが、実際は文科省から降りてきたこの取組みを十分理解していた学校関係者は少なかったと思われます。教科書は教科書として別個に教えるのではなく、実生活と結びついた生きた学問にしていく努力が十分ではありません。


3、他と比べて低いから問題なのか。
そもそも、何を今さら大騒ぎですか。世界と比べて日本人の子供たちの成績が低いから問題なんでしょうか。では一番だったら問題なかったのでしょうか。子供たちが国際社会の中でこれからどう生きていくか、そのためにはどんな力を持って生きなくてはならないのか。しっかりした世界観と教育理念を国と教育機関である学校が共有しなくてはなりませんね。もしそれが確立していて、今はそこに行きつくための道中にあるのなら、一回や二回のテストの結果にみんながおびえる必要はないのです。


はっきりしたビジョンを持った指導者が必要ではないでしょうか。そしてそのビジョンを実行に移す、勇気ある人々が文科省にいないといけません。現場の学校は右に向いたり左に向いたりする学習指導要綱に振り回されて、先生がたも落ち着いて教えられないではありませんか。文科省と学校が互いの不信感から脱却するためにも、まずは明確な教育のビジョンを共有しましょう。


政府も国会もそしてそれを動かす私たちひとりひとりも諸外国への見栄や外聞ではなく、本当に子供たちの将来を考えた、信念のある決定をいたしましょう。


●我らが自治組織 町内会
若いカップルの皆様、町内会の行事って面倒くさくて嫌ですよね。できたら寝ていたい日曜日になると、うるさくしつこく「でてこい。」と町内会から言われていませんか。


法律的に言うと、町内会に所属するかしないかは、当人の意志で決められるそうです。でも町内会が機能しない所では防犯や衛生管理など生活に関係するすべての事を自分で管理するか、高いお金を出して、誰かに管理してもらわないといけません。いくら「俺は個人主義で生きるから。」…と言っても、火事になれば誰かに助けてもらいたいですし、生活すればゴミも出ます。


御存じでしょうが、消防組織には各自治体に置かれている消防署(消防隊員が常駐して危機管理にあたる専門機関ですね)と自治体が自ら組織する消防団があります。消防団は日ごろは一般のお勤めの方などが、有事に備えて自衛のために組織したものです。多くの町内会ではこの両方の組織が協力して街の安全を守ります。「自らの地域は自らで守る」これが消防団員の皆さんの郷土愛護の精神です。これは実際にあったお話しですが、火事があって民家の消火あたっていた消防団員さんが、「この家には確か小さな子供さんがいて、こんくらいの時間にはおばあちゃんといつも昼寝をしていたな。」と真っ先におばあちゃんの部屋に飛び込んで二人をかかえ出し、二人は九死に一生を得たそうです。やっぱり大切ですよね、地域の活動。


このほかにも、子供見守り隊を町内の老人会主導で作っているところ、春夏のお祭りを企画して町内に住む人の交流を図っているところ、健康体操を推進して朝起き会を主催しているところなど、いろいろの取り組みがあります。まずまずの会費を毎月納めなくてはならず(確かに地方に来れば来るほど町内会費は高くなる)、多少のめんどうくささはあるもの、町内の方々と交わる中でいろいろと助けていただけることが増えていきますよ。また自分が誰かのお役に立てる場面も出てきます。


有事に人の力が最高に発揮されるためには、日ごろの信頼関係がとても大切です。